仮差押え・仮処分
まず、やるべきこと
債務者が倒産、もしくは倒産目前という場合には一刻も早く、冷静、的確にできる限りの手を打つ必要があります。多くの場合で債権者が一人とは限りません。このため、他の債権者よりも先に駆けつけ、状況を把握することが回収率を高める上で大切な事になります。
他の債権者も自身の債権が取れなければ大変な事になりますので、やはり回収率を上げるために、集まってきます。それぞれが確認するだけなら良いのですが、中には無断で機器や商品などを持ち去る者もおり、資産がなくなってしまうことが多いからです。
しかし、本来、例え納入物であっても、占有権は相手にあるため、一人の債権者が勝手に持ち去ることは違法になります。無断で持ち出せば窃盗罪や住居侵入罪となってしまいます。このため、引き上げる際には相手に返品承諾書を得るか、相手から売買代金の代わりに商品で支払うという代物弁済の承諾を得る必要があります。
仮差押え・仮処分
取引先の経営状態が危険な状態になった場合や納入した商品の引き上げに応じない場合、商品などに対して仮差押えや仮処分の処置をする必要があります。
仮差押えの手続きをしても全額回収できる確率は低いのですが、仮差押えの手続きを取っていなければ、相手が財産を処分した時や一部の債権者に資産を売却してしまった際、手の打ちようが無くなってしまいます。
また、仮に債務者名義の財産があっても、別の債権者が差押えや仮差押えをしている場合には、一債権者が勝手に換金することはできません。とは言え、以下2つの対応をしておくことで、少しでも回収率を上げることが可能です。
- 自分も債権者として差押え手続きに参加
※これにより債権額に応じた支払いを受けることが可能です。 - 後順位でも担保権を付ける
※差押えや仮差押えが解かれた際、他の債権者により優先して支払いを受けることが可能です。